2023/03/24 22:30
テクノというダンスミュージックの中でも「最小限の音で最小限の展開」を価値に置くミニマル・テクノは聴くものに独特のエクスタシーを感じさせます。
同じテンポ、同じリズムパターン、同じメロディによる、シンプルに設計された音の連なりが、”刻々”というよりはもっと焦らす形でじわりじわりと変化していきます。
その禁欲の様に垣間見られるのは「引き算の美学」。
ここに、他の表現形態と結びつく感性があるように思います。
今回はミニマル・テクノの力者、マルコ・カローラを紹介します。
1975年生まれ、イタリアのナポリ出身。
90年代に活動を始め、99年にアルバム『Focus』をリリース。
その後、ミニマルテクノの立役者、イギリスのリッチー・ホーティン率いる“minus”でも活動するなど、人気を固めてきました。
近年ではフェスティバル”MUSIC ON”を自ら主催しています。
2022年、5月のアムステルダムでのプレイがこちらです。
ダンスミュージックにしては、どこか醒めた感覚に貫かれています。
まるで滝行や護摩行の果てに感覚の深淵を覗いてしまったような、、、、
こちらは2011年のアルバム『Play It Loud』。
ミニマルな進行の中で、謎かけをするように、ひねりのきいた技がちりばめられています。
大きな「?」が生まれることは貴重な美的体験の一条件です。